熱の花



「捨てればよかったのによ」
「そないなこと言わんといてーな」

 国が熱を出すというのは、何かしら国が窮地に立たされているということ。窮地まで行かなくとも、国が大きく変わりだす時≪国≫も変わる。
 エメラルドの瞳はうるんで、弱々しい。いつも背には太陽が似合うコイツでも、今のコイツにとっては天敵だろう。まるで枯れてしまう花のように。
 花は枯れる。水分と養分、太陽の光がなければ。どれも均衡に保たれてこそ最良の状態が維持される。どれか一つでも過剰に摂取してしまえば、花は枯れる。
 コイツの場合は太陽だろうか。

「早くよくなれよこのやろー」
「ロマは心配してんのか分からへんなぁ」
「……俺がいてやるから」

 コイツの場合は太陽が外敵で、水分と養分は味方なんだろう。それで、味方の主成分が多分俺ばかりなんだろうなと自惚れてみる。まだ、守れるような強さはないけれど、側にはいてやれるから。
 枯れないで欲しい。コイツはいつも花のようだ。ぱっと咲いてすぐに散って、また咲いてを繰り返す花のように。キレイに散るなら見ていてやる。けど、枯れるのは許さない。
 枯れさせない、だから、ずっと側にいてやる、このやろー。

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